【バースデー・スコープ】4月:どうしたって仕事の話になる

最初は確かに誕生日の話をしていたんです…。
でも気づくと仕事の話になっていました。

「誕生日?祝われるの得意じゃないんだよね」
「プレゼント?そもそも物欲がないし」

身もふたもないコメントをするのは、
押しも押されぬ弊社のスーパーエース、Zさんです。
その仕事スタイルはまさに孤軍奮闘。
社内のメンバーとチームを組むことは少なく、
いつも一人で書類の山に埋もれ
“Zならでは”といわれる緻密な企画書を仕上げます。

「あ、でも想い出あるな。
あれはここ10年くらいでも印象深い誕生日だった…」
そんなZさんがついに重い口を開きました。

当時まだ若手だったZさんは誕生日前日の金曜の夜、
仕事が終わらず頭を抱えていました。
次の日は、昼から誕生日会を兼ねて
同期と花見の予定だったのです。
「せっかくみんなが企画してくれたのに、
このままじゃ間に合わない…」
Zさんは必死で働きましたが
努力虚しく日付は変わり、
約束の時間には間に合いませんでした。

夕暮れ近くなって仕事もようやく終わりが見え始め
「もうこんな時間か…」と改めて肩を落としていると
突然、「ハッピーバースデー!」という声が。
花見をしているはずの同期たちが
ぞろぞろとフロアに入ってきました。
呆気にとられて見ると一人の手には
折られた桜の枝が。
ずっと会社にいたZさんに桜を見せようという心遣いです。
「枝は折るなよ」と悪態をつきつつも、最高の誕生日となりました。

すでにZさん以外の同期は皆会社を離れましたが、
今でも2か月に一度は飲みにいくというから、
仲間が大好きなZさんの一面が窺えます。

そしてこの仲間意識、意外なことに
一匹狼と思われているZさんの仕事スタイルにも
貫かれているそうです。

「友達コンサル」
全てはこの言葉にあらわされています。
友達のような横からの視点で業務課題を解決する。
Zさんはこのスタンスにより、クライアントから絶大な信頼を得ています。

同期が会社を辞めた後、社内で孤独に見えたZさんは
実はクライアントとチームになっていたのです。

こうしていつの間にか誕生日の話は
すっかり仕事の話とすり替わっていました。
「自分が勝負するフィールドを認識しろ」
「世の中の8割は言い方でできている」
「言われたことを完璧にやるだけでは、信頼は得られない」
その後もZさんは沢山の名言を放ち、
我々取材班を残して現場を後にしたのでした。

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ムーンカレンダー「ミチル」とともに、
誰かの誕生日を覗き見する連載、
「バースデー・スコープ」
毎月、個性あふれるエピソードをお届けします。
「ミチル」は、月の満ち欠けをモチーフにした壁掛カレンダー。
月ごとに、季節をイメージした色をつけることによって、
めくるたびカラーパターンの美しさが各月を新鮮に彩ります。

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