ゆるく、こだわりたい。 - その4  台湾ビルウォッチング -

台湾が大好きで、最近では年1回のペースで台湾旅行を楽しんでいます。
歴史、食事、観光…と台湾の楽しみ方はさまざま。何を食べても美味しい台湾ですが、「食」については様々なガイドブックで紹介されていますので、改めて僕が書くまでもありません。食べ物以上に、僕はこの街の持つ雰囲気が大好きで、ついつい足を運んでしまいます。とりわけ、すっかり奇麗に整備された表通りから一歩奥に入り、路地の先に広がる生活感あふれた光景はあまりにも濃密で、「食」以上においしい世界が広がって、もはや日本で出合うことは期待できそうにない風景が現れます。そんな生活感たっぷりな路地にたたずむ建物を見て歩くのがおもしろく、ただ街から街へ、路地から路地へと建物をウォッチングしながら歩き続けるのが、台湾の楽しみの一つになっています。

とりわけ私の好きな建物は、人々が勝手に外観にカスタマイズを施したもの。日本のそれとは大きく異なり、法則性や規則性なく突起物がやたら突き出た形状にトランスフォームしています。
よく見かけるのは、建物の窓の外側に、格子状の囲いをつけたもの。同じビルでも部屋ごとに形状が異なり、バラエティーに富んでいます。主な目的は、防犯なのでしょうか? しかし、建物の上層階でも格子で覆われた窓が見られますし、格子で囲われた窓はたいてい固く閉ざされています。だったら格子は必要ないのでは?と、ごくごく平凡な結論が導きだされます。しかし、台湾の路地裏宇宙においては、そんな凡人の想像を超越した存在理由がきっとあるのでしょう。
窓を覆う格子が、第一形態であるならば、それがもう少し大掛かりに進化すると、床らしきスペースが設けられ、ごく狭いベランダ状に加工されていたりします。こちらも明らかに後付けと思われ、強度についても「大丈夫か?」と心配になってしまうほど心もとない印象です。この狭いベランダ状のスペースは、ある部屋では洗濯物を干す空間として活用され、またある部屋では鉢植えの植物が並べられ(中には重みに耐えられるのか心配なほどびっしりと並べられた場所も!)、どうにも危うい様子ではありませんか。
それぞれのパーツの色合いにも、建物全体の統一感は見られません。そこに、無造作に取り付けられたエアコンの室外機や立て看板などが、さらに無秩序さを加速させ、中には、SF映画に登場する大型宇宙船の外壁のようになってしまったビルもあります。外壁すれすれにXウイングが飛んでいても、全く違和感ありません。

各々が好きなように増改築を進め、いろいろな形状が無秩序に増殖していく様はとても壮観で、圧倒されてしまいます。しかし、この無秩序さも、台湾の風景におさまるとなぜか秩序を醸し出すのが不思議! 行く先々にこのような光景が広って、街全体を浸食しています。意図しても決して成立しない、台湾を台湾たらしめている街の法則。僕は、これを調和のとれた無秩序と考えています。気ままに訪れた観光客の退屈な常識を飲み込んでくれる懐の深さが、たぶん台湾の魅力なのでしょう。原稿を書いているだけで、また台湾が恋しくなりました。来年もまた台湾を旅したいと思います。

2016年も残りあとわずかになりました。今年1年の振り返りも大切ですが、来年の準備もお忘れなく。リプラグでは、2017年カレンダーも豊富にラインアップしています。人気の定番カレンダー「リプラグ トライアングラー」は、直近3カ月分の日程が確認できるほか、全て広げれば1年分のカレンダーを俯瞰することもできて、旅の計画を立てるのにも便利ですよ!

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