同じ予備校に、なんか気になる子がいる。
最初にその子を見たとき、
ウォータークーラーの水を
正面じゃなくて横から飲んでた。
すごく飲みにくそう。
他にも、全然時間は余裕なのに
予備校までの道をダッシュしたり、
行動がいちいち気になる。
まだまだたくさんあるけど、
数えきれないぐらい。
彼女の行動はずっと謎だったけど、
ある日、その意味を友達が教えてくれた。
「あの子、ウォータークーラーを
正面から飲むと、受験に落ちるって信じてるんだって
きっと他の行動もそれだよ。」
なにそれ、信じられない (笑)
それ以来私たちはその子のことを
「ジンクスちゃん」と呼び始めた。
正直、ちょっとばかにする気持ちもあったかも。
「ジンクスちゃん、廊下後ろ向きに歩いてたんだけど！」
「ええー！そういえばこないだは横断歩道の
白いところだけ歩いてたよ。」
とか言って。
ある時いつも一人でいる彼女が
友達と一緒にいたから
「友達、いるんだ。」
と思って眺めてたら、
その子に桜色の、花の形をした
メッセージカードを渡していた。
あれかわいい…。いいな。
ジンクスちゃんは第一志望の有名大学に合格したらしい。
私も同じところを目指してたけど、
受験の日の朝すべって溝に落ちたからか、不合格だった。
そういえば、彼女に桜のメッセージカードを
もらった子は、全員合格したっていう噂。
ジンクスって本当なのかもね。
※このお話はフィクションです。
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