【バースデー・スコープ】2月:どうしたってあの国の話になる

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25年前、一人の若い女性がイギリスに渡りました。
初めての渡英だったはずが、不思議と故郷に帰ってきたかのような気持ちになり、
以来その国の虜になりました。

留学で訪れていた彼女は、23歳の誕生日をイギリスの寮で迎えることに。
大好きな国にいても、まだ英語に慣れず少し孤独を感じていました。
しかし当日部屋に帰ってみると、「Happy Birthday!」のカードが……。
そして寮の留学生達からのサプライズパーティーが始まったのです。
飲んで食べて、言葉が通じない同士英語で語り合い、忘れられない誕生日となりました。

それから四半世紀がたちました。彼女は自分の誕生日に特別なことはしません。。
完ぺき主義ゆえに計画通りに行かなかったときの悔しさがひと通りではないから、あえて何もしないのです。
それでもホテルのシェフをしている夫は、よく彼女に秘密でプレゼントを買ってくれます。
大抵は渡される前に家の中で見つけてしまうけれど、知らないふりで「ありがとう」と微笑みます。にっこりと。
サプライズ好きの彼女の夫は、一緒に車で出かけても黙って行先を変えたりします。
ハンバーガー店にいく予定が、気づいたら前から気になっていたレストランに到着していることも。
そんな時、もうハンバーガーのことで頭がいっぱいになっているので正直戸惑います。
でもそれは隠して「わぁ、嬉しい!」とにっこり。自分を喜ばせようと思ってしてくれていることですから。

誕生日月の来月は、25年前から幾度となく訪れているイギリスで過ごす予定。でも今年は
ちょっと違います。なぜなら冬のイギリスを訪れるのは、最初に渡英した時以来のことだから。
彼女はずっとイギリスで暮らしたいと考えているので、
ちょうど節目の今年運命的な出来事が起こってもう帰ってこないかも……?

2月16日に誕生日を迎える、コピーライターMさんのお話しでした。
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「ミチル」は、月の満ち欠けをモチーフにした壁掛カレンダー。
月ごとに、季節をイメージした色をつけることによって、
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