ゆるく、こだわりたい。 - その1 良く晴れた日にレインブーツ -

40代前半の頃に、友人を通して釣りにはまりました。
実際に釣りに行くのも楽しいものですが、釣りには一生かかっても使い切れないほど多くの道具があり、
それらを少しずつ集めるのもまた楽しみの一つかもしれません。
確かに私も、リール(糸を巻き取る道具)やルアー(疑似餌)など多くの種類の道具を試してきました。
でも、その中でも何が一番役に立つの?と聞かれれば、「長靴」と答えるでしょう。

一口に釣りといっても、対象魚によってカテゴリーはいろいろ分けられますが、
私のターゲットは淡水魚。だから出かける先は、もっぱら川や野池・沼・湖になります。
行く手には、舗装されていない道はもちろん、雨上がりの土手には水たまりやぬかるみが立ちふさがり、
自分の背丈ほどに繁る夏の雑草が行く手を阻むこともしばしば。
虫どもクモどもが潜むやぶに一歩を踏み出せるのかどうかは、もはや釣り道具の性能は関係なく、
勇気とか安心感とかを与えてくれる長靴の存在がやけに頼もしかったりするわけです。
これさえあれば、ぬかるんだ水辺でも臆することもなく、膝ぐらいの水深なら気にせずに進めます。
釣りのお供に加わってから、我が家の長靴は、雨の日に取り出されることはむしろ少なく、
良く晴れた週末が出番となっています。

長靴で出かけるようになって改めて気づいたのですが、水たまりも気にせずにザブザブと進める感覚は、
ある種の開き直りのようでとにかく気持ちいい。
大人になるにつれて、身につけている衣服を汚す行為を自然と回避してきましたが、
水たまりや浅い川を気にせず突き進む「濡れても汚れても、全然いいや!」的な感覚は、
束縛からの解放なのかもしれません。

長靴を愛用するようになってからは、もう自宅から長靴を履いてバスとか電車とかを乗り継いで
釣り場に遠征しているほど、その自由さにはまりました。
妻からは「子どもか!」「みっともない!」などと指摘されても、当時は不思議と気になりません。
自分にとっての釣りとか長靴とかは、40年前の夏に舞い戻るスイッチの一つであり、
羞恥心さえも子どもレベルまで鈍化させてしまうのでしょう。

そんな長靴選びの私の基準は、素材と丈の長さでしょうか。
素材であれば、あくまでも自分の感想ですが、合成ゴムよりは天然ゴム製品の方が、
感触がしなやかなで長持ちするように感じます。
一方で国産メーカーの長靴は、丈が少し短いような気がします。
そこは好き嫌いが分かれると思いますが、私はひざ下まで届く丈の長さが好きなので、
その点にこだわると海外のアウトドアメーカーのモノに行き着きます。
日本では、長靴=雨靴や厨房の印象が強いですが、海外の場合、乗馬ブーツが起源であったり
狩猟用に使われていたりと、そもそもの使途や歴史が違うようです。
長靴と言うよりも、ブーツと言う方がふさわしい佇まいで、
だから野山の釣りにも自然に馴染むのか!と一人納得してみたり。
現在、我が家には2足の長靴が、野山に向けてスタンバイ中。
良く晴れた晩夏の出番を待っています。
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ところで、皆さんのこだわりは何ですか?
リプラグ製品は、どこまでもストイックにこだわって開発・製造を行っています。
これは作り手だから当然のこと。
その一方で、日常の生活では、突き詰めたハイエンドなこだわりばかりでは、
どこか疲れてしまいそうです。ときには「なんとなく」や「気分的な」思い入れくらいが、
ちょうど心地よい重さだったりするのではないでしょうか。
これからは、そんなゆる〜い具合のこだわりを、身の回りから定期的に紹介させていただきます。