ゆるく、こだわりたい。 - その3  富士の樹海をランニング。 -

自分はなぜ走るのか?
20代の後半から、ほぼ欠かさず週末のランニングを習慣にしてきました。習慣といえばとてもポジティブに聞こえるかもしれませんが、私の場合は全く前向きとはいえません。どちらかというと、いったん始めてしまったからには止めてしまうのは何となく落ち着きが悪い。これが主な理由で、むしろ後ろ向きの動機で続けているのが実態といえるでしょう。私は、ランニングという行為そのものを、一週間をサイクルとした一つのルーティンと化していて、いつもの習慣が狂ってしまうことが気持ち悪く、とても窮屈な性格といえるでしょう。
そんな経緯もあり、「趣味は何ですか?」と聞かれた際には、胸を張って「ランニング!」とは答えにくく、「ランニングとかしてます」的なニュアンスでついつい口ごもってしまうのでした。

趣味といってよいのか、強迫観念から来る習慣なのかはっきりしないまま走り続けているうちに、なぜか世の中ランニングブームに。目に見えてマラソン人口が激増し、日本中でマラソン大会が開催され、多くのランナーがマラソン大会にどっと繰り出し、東京マラソンに至っては約12倍の倍率と異常な状況になっています。
私はというと、世の中が騒げば騒ぐほど冷めてしまう面倒な性格もあり、ますます意固地にブームから背を向けていましたが、そんな自分こそ大人気ないと猛反し、覚悟を決めて大会にエントリーすることにしました。

そこで選んだ大会が、富士山の麓の原生林を走るコース。いきなりハードルを上げて、トレイルランニングというカテゴリーに参加してみました。
今回のレースは、参加者が600名強とごく小規模な大会でした。国立公園指定区域内を走るコースのため、国から参加人数が制限されているのがその理由です。原生林を走るという未知の体験に、おのずと期待が高まります。
朝4時に自宅を出発し、中央道を経由して約2時間。大会会場に到着した後は、持参した軽い食事をすませ、レース受付手続きを行いました。受付でゼッケンとICタグを受け取ったら、車に戻って狭い車内でもぞもぞ着替え。ICタグはレースタイムを計測するためのもので、シューズに取り付けて準備完了です。
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実際のトレイルコースは未整備の山道で、そこから一歩外れると広大な原生林が広がっています。もちろんコース外の走行はNG。道がとても狭いので、ほぼ一列での走行となります。追い越すときは、後ろから一声かけるのがマナー。また、ハイカーの方がいらしたら、ハイカーの方を優先し一声かけ歩いて追い越すのがルールです。
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あくまでも私見ですが、マラソンは一定のペースを守り淡々と距離を刻んで行く走り方。それに対してトレイルランニングは、コースの状況やコンディションに応じて臨機応変な走り方が求められます。道には石がゴロゴロしていたり、木の根が露出していたり、ぬかるみがあったりと変化に富んでいます。障害物を避けるためにジグザグに走ったり、水たまりを飛び越えたりと、常に足を置く位置を見極めながら走らなければならずに気が抜けません。
しかも、下り坂はさらにスリルが! 傾斜のきついコースでスピードが出ると、気持ち良さとは裏腹に転倒の危険もあります。実際に流血している人もちらほら見かけました。でも、そこがトレイルランニングの醍醐味かもしれません。
今回は、富士山の美しい眺望を楽しみながら走れるコースが特徴でしたが、コース取りに集中するあまり、景観を楽しむ余裕すらありません。快晴だったにもかかわらず、結局、富士山を眺める暇もなくゴールしてしいました。途中のビューポイントを見逃してしまったのが、とても心残りです。

さて、トレイルランニングを終えて、今恐れていることがあります。それは、一度始めてしまうと止めるのがとても気持ちが悪いという性格から、やるべきことリストがまた一つ増えてしまったことでしょうか。
自分はなぜ走るのか? それは優柔不断だから、と改めて自覚しつつ、来年のカレンダーを眺めながら、恐る恐る次の大会の計画を練り始めた私です。

さて、来年の計画を立て始めるのならば、ぜひリプラグのカレンダーをお手元に! 今年も定番から新作まで勢揃いしています。今なら、全てのカラーがお選びいただけますので、お買い求めいただくなら早めの決断をおすすめです。この機会に、どうぞ。