【クリスマスの夢】

【クリスマスの夢】
僕は横須賀でフリーのウェブコンサルをしている。
独立直後は妻にも苦労をかけたけど、
今では不自由ない暮らしができる。でも実は5年前までは結構荒れていた。
のんだくれてブラブラする毎日
それでも妻は側にいてくれた。
よっぽど心が広いのか、何も考えていないのか、
もしかしたらどっちもか。

5年前の今日、クリスマスの晩。
妻と一緒に近所のクリ浜を散歩していると
紙袋が落ちている。
気になって拾うと、相当な数の札束が入っていた。

家に帰って数えてみると、なんと5千万円!
「これで遊んで暮らせる!」と舞い上がる僕に
妻は「警察に届けるでしょ」と言ったけど
僕は浮かれてシャンパンをのみ、泥酔して寝てしまったんだ。

次の日起きると、僕は真っ先に妻に聞いた。
「5千万は?!」
すると彼女は驚いた顔で
「なんの話? 夢でも見てたんでしょ」と言った。
「あれが夢なんて信じられない!昨日一緒に数えたよ!!」
というも知らんふりだ。
結局5千万円拾うなんて現実離れしてるし
僕も夢だったんだと思った。

でもその夢を見てから、ブラブラするのにも飽きて
まじめに働くようになった。
アルコールもきっぱり断ってしまった。

そして未経験者歓迎のIT系の会社に就職し、
独立するまでに。
今日はクリスマスで、デスクに置いた
三角のカレンダーに妻が印をいれている。

2人でチキンを食べていると
妻が気まずそうな顔で「あのさ」といった
「なあに?」と聞くと
うっすら見覚えのある紙袋をだしてきた。
「これ夢に出てきたことあるよ!!」
「あれは夢じゃなくて本当なの。
あんたがどうせろくでもないことに
お金を使ってしまうと思って、酔って寝たのを
いいことに、夢ってことにしてた。
警察に届けたけど半年後戻ってきて、
ずっとかくしてたんだ。」
「ええー!信じられないよ!!
ずっと騙してたなんて・・・。」
「ごめん!好きなシャンパン用意したから
機嫌なおして!
こんなに立派になったんだし、
もうのんでもいいよ。」
とすすめてくれたので、なんて優しい妻だ!
と感激して、じゃあひと口・・・と思ったけれど、
「やっぱやめとく。また全部夢になったらいやだ。」
10419041_968616263167570_2264713214885388887_n