【杏留寄産賀靖司くん】
彼の名前は
杏留寄産賀靖司（あんずるよりうむがやすし）くん。
未来が心配で不安になっている人のそばに行っては、励ましてくれます。
受験に落ちるのが怖くて、逆に勉強が手につかない学生には、「心配するより勉強に集中しちゃった方が気が楽だよ。」といい、
出産の痛みが怖くて怯えている妊婦さんには「世界の大半の女性が経験するんだから、あなたにできないはずがないよ。」と言いました。
彼にそう言われると何故だかみんな「そういうものかな。」と思えて、気が楽になります。
でもある時、出茂鹿之助（でもしかのすけ）くんが彼に言いました。
「大丈夫だと君は言うけれど、世の中には本当に辛くて大変なこともあるでしょう。」
靖司くんはこう返します。
「当たり前だよ。人生において辛いことは起こる。でも未来のことを心配して怯えている人は、まだ起こってもいないことに対して頭の中で最悪のシチュエーションを創造して不安に支配されているんだ。これは事実ではなくて頭の中の問題だよ。こういうことって意外と多いよ。」
そしてこう続けます。
「そういう意味では、恐れていることは起こらない可能性が高いし、起こったとしても少なくとも想像しているようには起こらないんだ。」
鹿之助くんは普段人の意見には「でも」と反論したくなるのですが、この話に関しては「そうだといいな。」と思ったので、風にカサカサと揺れるカレンダーを見ながら言い返さずに黙っていました。
風にカサカサと揺れていたのはglassine paper Calendarです。
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